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  • タイ特集 課題抱える農業に商機
  • 2025年7月28日
    • 農業大国タイには生産を改善する機能性素材などの商機が眠る
      農業大国タイには生産を改善する機能性素材などの商機が眠る
     在タイ日系企業の間では、自動車や家電・エレクトロニクスといったこれまで日本勢が得意としてきた産業分野とは異なる領域を開拓する動きが広がっている。なかでも、規模が大きく効率化という明確な課題を抱える農業に注目が集まっており、各社が機能製品や新技術などの商機を探っている。

     コメやサトウキビ、果物などを中心に世界有数の農業国として知られるタイだが、生産性の改善や農家の所得向上が課題となっている。そうしたニーズを将来的に取り込もうと商材提案を行っているのが専門商社の小西安だ。現地法人で今年から、土壌の保水力を高めることができる作物残渣由来の吸水性ポリマーの取り扱いを開始した。

     日系スタートアップのEFポリマーが開発したオレンジの皮など不可食部分を原料とする100%天然由来の吸水性ポリマーで、自重の約50倍の水分を吸収し徐々に放出することから、土壌の保水力向上につながる。まずは販路のあるゴルフ場へ提案し、その後ドリアンなど商品価値の高い果物などに向け売り込む考え。現地で農産物向けに実証試験を行う予定だ。

     ペプチドをバイオスティミュラントとして利用し農作物の品質向上や収量増大につなげる「ペプチド農業」を新事業として育成している三洋化成は、日本に続きタイで事業化を狙っている。同社現地法人に出資するタイ企業が農業資材を扱っており、その顧客である農園でキャッサバへの実証実験を開始した。今後さらにドリアンや野菜でも効果を検証していく。

     タイではこれまで自動車向けの樹脂加工と素材・化学品の供給を軸としてきた森六も、タイや東南アジアをバイオスティミュラントの有望市場とみている。農業資材を扱うグループ会社の森六アグリが手掛けるバイオスティミュラントを提案する。インドネシアでは実証試験に入っている。

     独自技術を持つ日系アグリテック企業もタイにアプローチしている。培養・発酵技術を生かしたバイオ炭「宙炭」を展開するTOWING(トーイング)は、これまでに北部の農地の視察や事業紹介イベントへの参加を通じて事業機会を探ってきた。昨年12月には、国立カセサート大学と「宙炭」技術の学術的研究協力に関わる基本協定を締結したことを発表。同大学の圃場で宙炭を活用した農作物の実証栽培を実施し、現地に適したバイオ炭を開発することにしている。
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