山口活シニアバイスプレジデント
日本酸素ホールディングス(HD)のニッポンサンソ・タイランドは、新たな酸素需要の開拓に取り組む。主力の鉄鋼業向けの需要が落ち込む中、エビの養殖や鉄・ガラスなどの溶解工程といった新たな用途への提案を積極的に進める。物流面ではDX化によりコストや輸送効率の最適化を図る。
同社は、タイ唯一の日系産業ガスメーカーとして、国内12拠点で産業ガスを製造しており、酸素や窒素などのバルクガスを中心に幅広い産業に供給を行っている。手厚いバックアップ体制による安定供給を強みとし、あらゆる産業に欠かせないインフラの役割を果たしている。
一方で、近年は中国製の安価な鉄の流入によりタイ国内の鉄鋼業界が打撃を受けており、それに伴って酸素の需要も減少している。足元ではやや回復傾向にあるものの、事業の安定化に向けては新たな需要の掘り起こしが喫緊の課題だ。
注力分野の一つがエビの養殖だ。酸素を用いることでエビの生存率や成長速度が高まる点を訴求し、主要な養殖業者をターゲットに提案を行っている。
さらに、鉄やアルミニウム、ガラスなどの溶解工程で酸素を活用することで生産効率の向上や燃料消費量の削減が期待できる点にも着目。同技術の導入に向けては顧客の設備投資も必要になるため長期的な提案になるが、2024年末には米国から専門のエンジニアを招聘し、本格的に取り組んでいる。
窒素については、主要な顧客となる化学メーカーや電子材料メーカーの新工場設立がバンコク周辺やラヨーン県などで続いており、今後も需要は堅調に推移する見込みだ。
物流部門の改革も重要なテーマで、25年4月には同部門を独立した組織として再編した。これにより製造部門との連携を強化するとともに、ローリーの配車状況や顧客のタンク残量などのデータの統合・活用、生産計画へのフィードバックといったDX化を推し進め、より効率的で最適な事業運営を目指す。