福澤隆之 社長
三菱ガス化学シンガポール(MGCS)は、メタノールの船舶燃料向け供給体制の整備を進める。重油などを一部置き換えるクリーンエネルギー源として注目が集まるなか、シンガポール海事港湾庁が2026年1月からのメタノールバンカリング実施に関するライセンス付与を発表している。これを商機とみて安全性に関する情報提供などを強化し、将来の普及に備える。一方で市況変動に左右されにくい収益構造への転換を課題とするなか、半導体向け薬液などがメタノールに次ぐ柱として育ってきている。
MGCSによるメタノール取扱量は年100万トン相当で、主に三菱ガス化学がブルネイとサウジアラビアに構える合弁2社の製品を供給する。福澤隆之社長によれば「米国による関税政策やメタノール誘導品の中国からの流入が既存用途に影響を与えているが、『次の用途』の光明がみえた」段階にある。
それが船舶燃料で、2030年までに年間100万トンを超える新たな需要が予測され、今後数年を勝負の時期とみる。当面は既存のメタノールブレンディングで低炭素要求に応えつつ、三菱ガス化学が社会実装を急ぐ、二酸化炭素(CO2)や廃棄物などからメタノールを介してエネルギーと素材を生み出す環境循環型メタノール構想「Carbopath」へと接続していく。
メタノールに次ぐ柱事業としては、半導体向け薬液やレンズモノマーなど光学材料の拡大が続く。半導体向け薬液の出荷は堅調で、今年は超純アンモニア水の増強が完工を迎え、ファブ新設の相次ぐシンガポール・マレーシアで一層の成長を狙う。脱酸素剤「エージレス」では、域内で成長著しいペットフード市場に新たな活路を見出す。健食素材BioPQQ(ピロロキノリンキノン)にも動きがあり、10月にはイスラム圏向け展開で必須のハラル認証を取得。中間所得層の増える域内各国で実績を伸ばしていく。