日笠慎太郎 社長
クラレのシンガポール現地法人、クラレアジアパシフィック(KAP、日笠慎太郎社長)は、生産、販売、技術サポートの三位一体で事業拡大を加速させる。ポリビニルアルコール樹脂(PVOH)「ポバール」は、特殊品と位置づける塩ビ重合用安定剤用途での拡販に注力。エチレンビニルアルコール樹脂(EVOH)「エバール」では、食品包装用途を重点市場とし、強化していく。
KAPは現在、ポバールの年間生産能力4万トンを有し、さらなる増強も検討している。加えて2026年末にはエバールの生産にも乗り出し、まずは年産1万8000トン体制を構築。将来的に第2期増設も見据え、最終的に年産3万6000トン体制とする計画だ。
ポバールではグローバル供給体制の一翼を担う一方、高まる塩化ビニル樹脂(PVC)需要を追い風に、同安定剤用途での拡販を図る方針。9月に稼働したテクニカルセンターでは走査電子顕微鏡(SEM)を用い、物性を左右するPVCの粒子形状を分析する。さらに画像処理装置も備え、粒子形状画像データを定量化することで、安定剤の適切な提供につなげていく考えだ。
また、エバールはその優れた酸素バリア性を生かし、多層食品包材のバリア層として広く採用されている。ポリオレフィンのリサイクルを妨げない性質から環境負荷低減に貢献する素材として注目されている。同センターでは酸素透過度測定装置に加えて、食品保存試験設備を導入。アジアでの市場開発を顧客やパートナー企業と協働することで、高まる需要を的確に捉え、新製造設備のスムーズな立ち上げにつなげていく考えだ。
また、クラレグループにおけるグローバル人材育成にも寄与する。シンガポール国内の大学や研究機関とコネクションを構築し、連携を強化。まずは現地での実務経験を通じて人材を育成。将来的には海外グループ拠点で活躍できる人材を確保・育成していく方針だ。