井上氏
<人財課題対応~安全文化診断による現場の見える化と対策 AGC 技術アドバイザー 井上滋邦氏>
AGCグループはCEOメッセージとして「環境・安全・品質・コンプライアンスは事業の前提であり、投資である」ことを明確に打ち出しています。安全衛生ポリシーは「安全なくして生産なし」。このポスターを25カ国の言語にして国内外の現場に貼って徹底しています。
具体的な活動の一つが安全文化診断の活用です。その枠組みですが、1番目は共通のベースとして安全基盤と安全文化を整えることです。これによって重篤災害発生リスクを下げる、安全衛生意識レベルを上げることにつなげています。
安全文化診断の目的は、現場における安全意識の向上を阻害する要因の見える化です。人材不足などの課題も見える化によって解決できると思います。その概要は安全文化8軸モデル(組織文化の基盤=動機付け・組織統率・積極関与・相互理解、業務運営の基盤=資源管理、作業管理、学習伝承、危険意識)に基づく110問のアンケートをグローバルで約4・4万人、ビジネスパートナー(BP)を含めた全関係者を対象に実施し、その結果を分析して各組織の8軸ごとに強み・弱みを数値化します。安全文化診断総合指標と災害発生率は逆相関の関係があることが研究で明らかになっており、AGCの結果を当てはめても同じような逆相関関係があることが分かっています。
国内事業所の8軸要素別指標をみると、動機付けと資源管理が低スコアでした。資源管理(オペレーション)は業界平均と比べても非常に低い結果となっており、現場に安全を確保する人材が割り当てられていないことが明らかになりました。
そこで安全文化8軸の要素に沿った安全施策を立案・展開してきました。資源管理については、千葉・鹿島工場では保全部門が採用に苦労し欠員状態を解消できていないため、2010年から女性を含むオペレーター採用を積極的に展開、18年からは採用対象を専門学校、大学にまで広げました。高卒採用では保護者との良好な関係構築にも努めています。
相互理解、動機付けの要素ではオペレーター採用後のフォローが大切です。入社2~3年目を対象にした満足度調査、心理的安全性の確保、連帯感の醸成といった施策を実施しています。
安全文化診断の結果をみると、BPにも非常に低いスコアが出ています。ただ、工場にいるBPの責任者では解決できない問題もあるので、安全文化診断の目的と結果をAGCからBPの経営者層に直接説明することで改善策に取り組んでもらっています。