アントニオス・グリゴリオ 社長
三井化学アメリカ(ニューヨーク州)は、成長に向けた事業機会を追求する。米政権の関税政策の影響などで事業環境が不透明ななか、成長ドメインに位置づける「ライフ&ヘルスケア」「モビリティ」「ICT」の主力製品は好調。今後、新製品の継続した市場投入、さらなる事業領域拡大に向けた投資の検討も活発化させる。また、地政学的な状況が刻々と変化するなか、事業の安定化とさらなる発展のため、複数の輸入品目について現地生産も視野に入れている。
北米は、三井化学の海外売上高比率5割の3分の1を占める最重要市場の一つ。三井化学アメリカは日本やシンガポールからの原料の輸入販売、米現地グループ企業の株主として地域統括の役割も担う。
今年度上期の北米事業は関税の影響でボラティリティーの高い環境だったが、ライフ&ヘルスケアではメガネレンズ向け高屈折率材料「MR」、モビリティではα―共重合体「タフマー」や異種材料の接着性樹脂「アドマー」、コンパウンドが伸びている。ICTではアリゾナ州の半導体投資の活況もあり、極端紫外線(EUV)向けを含めたフォトマスク用防塵カバー「ペリクル」や製造工程用テープが好調という。
これらのキーマテリアルはシェアが高いものが多いが、三井化学アメリカのアントニオス・グリゴリオ社長は「シェア拡大に向け技術革新の継続が必要。カスタマーニーズを把握し次世代材料を開発する」とし、複数の新製品を開発、市場投入を計画している。
成長の目標と現状のギャップを埋めるM&Aも積極的に検討。一方、今年5月に米国で立ち上げた第2号CVCを通じ、西海岸のスタートアップを対象に投資案件を探索する方針だ。業務効率化のDX投資も推進する。
米国では関税リスクやサプライチェーンの見直しなど外部環境が激変。このため現在輸入している原料について、グリゴリオ社長は「複数の原料の現地生産を検討している」と明かす。収益拡大に向け、成長のためのあらゆる施策を打つ考えだ。