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  • 北米特集 P&G、合成生物学を成長の原動力に
  • 2025年12月22日
    • メーソンの中核研究所では100人以上のバイオものづくり関連研究者が新素材開発に取り組んでいる
      メーソンの中核研究所では100人以上のバイオものづくり関連研究者が新素材開発に取り組んでいる
     米大手消費財メーカーのプロクター&ギャンブル(P&G)は、合成生物学(バイオものづくり)を最終製品の付加価値化の原動力に位置づけている。すでに遺伝子改変した微生物により発酵生産した原料を開発、製品に採用し始めている。今後、消費者の環境意識に応えるべく適用範囲を拡大していくほか、バイオものづくりの推進によりサステナビリティーの目標達成にもつなげていく。

    • エイミー・トレジョ ディレクター
      エイミー・トレジョ ディレクター
     P&Gは歴史的にバイオ原料や発酵との関係が深い。創業時のローソクや石けんは食肉残渣の獣脂を利用。すでに半世紀近く前には洗剤ブランド「アリエール」に人工改変した酵素を採用し、テレビCMで大々的にバイオの力を訴求していた。醸造からヒントを得て開発された基礎化粧品ブランド「SK―Ⅱ」も現在はP&Gの製品だ。ヘアケアなど美容関連研究を統括するエイミー・トレジョディレクターはこの企業文化は「バイオものづくりの開発でも有利に働いている」と話す。

     社内に育種から試験生産までの研究リソースを有しており、酵素や界面活性剤、香料、ポリマーなどの開発が進展。すでにバイオ生産したラズベリー香料を配合した制汗剤も販売している。開発は「既存材料に比べて性能が上回り、消費者によりよい価値を提供できる素材」(トレジョ氏)が必達条件。スタートアップともアミノ酸などの開発で協業している。

     オハイオ州メーソンにある中核研究所では今年5月、バイオものづくりの新研究施設が稼働した。1万5000平方メートルのスペースに遺伝子解析、微生物培養、自動スクリーニング、100リットルの少量生産設備までの機器類が並ぶ。また研究所内のバイオインフォマティクス、臨床科学といった他分野の研究陣とも適宜連携している。関連分野を含めると、100人以上の研究者がバイオものづくりに携わっているという。

     発酵に使用する原料も廃棄物のアップサイクルを積極的に検討。「カーボンフットプリント(CFP)削減によるライフサイクルアセスメント(LCA)改善、温室効果ガス排出量削減の観点からもバイオものづくり生産を推進していく」(トレジョ氏)方針だ。
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