半導体材料の需要を狙うQnityが11月に誕生した
半導体産業では、人工知能(AI)の普及を成長ドライバーに、半導体メーカーによる増産投資の動きが活発化している。それにともない、材料や製造装置、関連設備、物流などの需要も徐々に喚起されている。
<半導体世界市場 数年内に1兆ドル>
半導体メーカーがこぞって投資するのは、主にAI関連で用いられる先端半導体のための向上だ。アリゾナ州にこれまで回路線幅2ナノメートルやさらに微細なA16(1・6ナノメートル相当)の製造拠点を含む3つの工場の建設計画を進めてきた台湾積体電路製造(TSMC)は今年3月、AI需要を見据え1000億ドルの追加投資を行うと表明。マイクロンは約1500億ドルを投じ、最先端メモリー半導体の製造拠点を整備する。テキサス州とユタ州に工場を新設するテキサス・インスツルメンツもターゲットの一つにAI向けに伸びるデータセンター需要を挙げる。業績が低迷し米政府自ら支援の手を差し伸べたインテルもアリゾナ州の新工場を10月に稼働させた。AIが需要の牽引役となり、半導体の世界市場は数年以内に1兆ドルの大台に到達すると言われている。
こうした動きから生じる需要を、米国に生産拠点を持つ化学企業が狙う。デュポンは半導体関連を含む電子材料事業を「Qnity Electronics(キュニティ)」として分社化し、同社は11月にニューヨーク証券取引所に上場した。半導体やエレクトロニクス業界の最大かつ最も広範なソリューションプロバイダーになることを標榜している。インテグリスは8月に、米国で行う半導体材料の研究開発に今後数年で7億ドルを投資すると発表した。
すでに米国に生産拠点を有する日系材料メーカーも半導体メーカーに呼応する。住友化学はテキサス州に新設した洗浄液として利用されるイソプロピルアルコール(IPA)の工場に続く設備投資を検討。IPAの増産や高純度ケミカルの品揃え拡充を視野に入れる。三菱ガス化学はアリゾナ州で超純過酸化水素と超純アンモニア水の生産設備を増設する。
<危険物物流や超純水などへ波及>
関連産業にも商機が訪れる。グローバルに化学品物流を手がけるNRSは増大する物流・保管ニーズを取り込むため、アリゾナ州に総合物流拠点を今年オープンした。ハンドリングノウハウと現地規制に対応した設備が必要な危険物に対し、最新の倉庫と高品質な保管サービスで物流需要を取り込む。
水処理大手のオルガノは、半導体製造に不可欠な超純水に特化した事業展開を進めている。設備販売から維持管理、改良まで網羅的にニーズに対応し、半導体メーカーだけでなく、材料などを供給する化学メーカーからも受注を狙う。
AIから派生する部材需要で見過ごせないのがデータセンター関連だ。電線大手の古河電気工業は、データ伝送の高速化、大容量化が進展するなかで、自社が持つ光ファイバーや熱対策の技術を生かせると見る。世界シェアトップのボンディングワイヤなどを擁する田中貴金属は、AIサーバーやパワー半導体に関連する課題に対し、熱伝導性などに優れる貴金属が解決に力を発揮するとして、今後の需要に期待をかける。