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  • 北米特集 旭化成バッテリーセパレータ、北米で3割超のシェア奪取
  • 2025年12月22日
    • 谷口龍 社長
      谷口龍 社長
     旭化成が、北米でリチウムイオン電池(LiB)用湿式セパレーター「ハイポア」の新工場を建設している。カナダにおいて同社が初めてグリーンフィールドで立ち上げる工場で、2027年央の稼働を計画。カナダ政府は国を挙げて電気自動車(EV)のサプライチェーン構築に努めており、旭化成バッテリーセパレータの谷口龍社長は「安定、高品質のものづくりを実現し、エネルギー転換に貢献していきたい」と語る。

     同社は、オンタリオ州ポートコルボーン市に東京ドーム19個分の敷地を確保し、ハイポアの製膜・塗工の一貫ラインを建設している。現地の大手ゼネコンと組むことで工期も順調で、27年にはEV100万台分、年産7億平方メートル(塗工膜換算)の生産能力を立ち上げる計画だ。

     同地で生産の許認可を得られた背景には、旭化成が持つ環境負荷の少ない生産プロセスがある。同社は可塑剤を抽出するための塩化メチレンを高収率で回収することで排出量を大幅に削減。他方、現地ではクリーンな再生可能エネルギー由来の電力を使用でき、カーボンフットプリント(CFP)の面からも競争力を発揮する。

     各国政府の政策転換などもあり、EV市場は足元で低迷するが、旭化成は、短期的には北米で需要が拡大する定置用蓄電池(ESS)やデータセンターなど非車載用途で稼ぎ、30年以降を見据えた車載用途では、顧客とタイアップした高付加価値のカスタマイズ品製造で中国勢との差別化を図る戦略だ。ハイポアの事業部門と電池の基礎検討から評価・解析を手がける蓄エネルギー研究所(静岡県富士市)が連携し、素材や化学プロセスの知見を生かしていく。

     谷口社長は、政策や市場動向を見極めながら需要にあわせて順次設備を立ち上げ、30年度にはフル稼働させたい考え。「われわれの製品の品質や価値を認めてくれる顧客ニーズをきっちり獲得することで、北米での3割超のシェアは十分獲得可能だ」と自信をのぞかせる。
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