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  • 新年特集号 繊維、供給網の収益性追求
  • 2026年1月1日
    • ユニチカの岡崎事業所は、1日から「NBセーレン」として新たなスタートを切る
      ユニチカの岡崎事業所は、1日から「NBセーレン」として新たなスタートを切る
     石化の再編の動きに呼応してというわけでもないだろうが、合成繊維業界の再編の動きが続いている。繊維業界の名門だったユニチカが1日付で、岡崎事業所で展開している繊維事業をセーレンに売却する。セーレンは2005年にカネボウの繊維事業も買収しており、それに続く繊維事業の大型買収となる。またクラレもポリエステル長繊維「クラベラ」を26年12月までに生産終了する(ポリエステル短繊維は継続する)。中国企業による極端な合繊の大増産の動きはすでに00年代から始まっていたが、多くの企業は、中国には作れない高機能繊維に重点を移して事業を継続してきた。しかし、今では機能性の面でも中国勢の追い上げは厳しく、サプライチェーン全体で利益を上げられるような仕組みづくりが必須になっている。

     <止まぬ中国勢の追い上げ 撤退など構造改革断行>

     25年の合繊生産量は公表ずみの11月までの累計で41万6152トン。前年同期と比較すると3・6%の減少で、品種別では、ナイロン長繊維は1・8%減、ポリエステル長繊維は5・0%減、ポリエステル短繊維は9・3%減、アクリル短繊維は2・1%増。23年に三菱ケミカルが撤退したアクリル短繊維はいち早く減少していたため、25年は増加基調にあるとはいえ、その生産量は11カ月で7万393トン。コロナ前の19年には年間で11万トンを超えていたことからすると、凋落ぶりが目立つ。合繊全体でも07年までは年間で100万トン以上を生産していたが、23年は51万1671トン、24年には46万7358トンで50万トンを割り込んだ。

     こうした状況下、三菱ケミカルは前述のアクリル繊維からの撤退に続き、24年に半合成繊維であるトリアセテート繊維からも撤退しており、さらにこれまで成長事業とみられていた炭素繊維でも広島工場のラージトウ設備を止めるなど、改革を実行している。

     クラレのクラベラ事業は、かつて、「世界一小さなキャパシティでしっかりと利益を上げている」とも評されたが、やはりコスト面で中国勢と伍していくのは難しく、ポリエステル長繊維からの生産撤退を決めた。原糸生産はなくなるが、海外縫製のオペレーションは評価されており、今後もOEM調達によりクラレトレーディングが関連製品の販売を継続する方針だ。

     そして台風の目となったのが、セーレンによるユニチカの岡崎事業所の買収。岡崎事業所はポリエステル長繊維やスパンボンド不織布などの拠点だが、セーレンは同事業を買収して以降も新社名「NBセーレン」として500人規模の従業員の雇用を守りつつ、海外品などに置き換え可能な事業は速やかに撤退して収益を確保可能な体制の構築を目指す。

     <原料にも変革の波>

     撤退、再編が続くのは合繊だけではない。合繊原料についても変革の波が押し寄せている。UBEは宇部ケミカル工場(山口県宇部市)でシクロヘキサノン、カプロラクタム、ナイロンポリマーを27年3月、アンモニアは28年3月末までにそれぞれ生産停止する。東レはテレフタル酸の生産を26年度中に停止し、自社で製造するポリエステル繊維・フィルムの原料は外部調達に切り替える。旭化成もヘキサメチレンジアミン(HMD)の生産を停止すると発表した。川下製品の需給の悪化で稼働率が低水準で推移し、厳しい状況が不可逆的であると判断し、27年4月に宮崎県延岡市での生産終了、撤収を決めた。川下までの一貫チェーンの有無などの強みはあっても、品質、機能で差異化ができないモノマービジネスからは、続々と撤退を迫られている。

     年末にいたって業界を驚かせたのがメーカー系繊維商社である帝人フロンティアと旭化成アドバンスの合併合意だ(帝人フロンティアはメーカーでもある)。26年10月からは統合新社としての運営が始まる。帝人フロンティアは、帝人の内川哲茂社長からも「顧客近接型ビジネス」の成功例として常々評価されている。この統合で、取り扱い商材の幅や拠点数を大きく拡大してソリューションの力をさらに引き上げていくことが期待される。
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