台湾のFTAC工場
事業ポートフォリオ転換を掲げているトクヤマにとって、電子材料事業の拡大は最も重要な戦略の一つ。その主力製品の一角が半導体製造工程に使われる高純度イソプロピルアルコール(IPA)「トクソーIPA SE」だ。製法と蒸留を駆使して生み出す高純度品は、ファウンドリに長く使用されており、アジアトップメーカーの一つとして知られる。需要の再拡大を見据えるなか、海外製造拠点を中心に能力増強を検討する。
高純度IPAは精密洗浄・水切り乾燥工程で使う。微細な凹凸にも浸透し、水溶性汚れや軽度の油汚れを溶解することに加え、速やかに蒸発する点が洗浄に適するが、ごく微量な不純物でもデバイスの信頼性を損なうため、高純度化の追求が常に差別化要素。トクヤマ品はプロピレンと水を反応させる直接水和法で高純度原液を生成し、さらに蒸留技術で精製していくことで半導体製造に適した水準まで高めている。
生産拠点は徳山製造所(山口県周南市)で年7万4000トンを製造しており、近年では台湾と韓国で地産地消体制を整えている。プロピレン供給パートナーと原液から一貫生産する合弁工場を設立。台湾の台塑德山精密化學(FTAC、年3万トン)はすでに稼働をはじめ、韓国のSTAC(年3万トン)は本格的な供給開始を目指す。このほか、中国には小分け・充填拠点の徳山化工〈浙江〉、シンガポールには蒸留から手がけるトクヤマシンガポールがあり、現地唯一のサプライヤーとして東南アジアへの供給を担う。
2030年度までに販売数量を24年度実績比2~3倍に拡大できるとみるなか、海外拠点を念頭に能力増強が必要となる。FTACがある台湾・高雄市では26年度にリサイクルプラントが完成し、顧客から使用ずみ高純度IPAを回収、再精製したものを27年度から徐々に供給しはじめる計画。これも能力増強の一環に位置づける。