• 大型特集
  • 半導体材料特集 ASMLジャパン・藤原祥二郎社長、スループット 絶えず向上
  • 2025年8月25日
     露光装置市場をリードし、極紫外線(EUV)露光装置で100%のシェアを握る蘭ASML。日本市場にEUV露光装置が導入されたことで、ASMLジャパンのサポート体制もさらに強化された。藤原祥二郎社長に技術の方向性や今後の展望などを聞いた。

    ▼…ASMLの歴史について。

     「蘭フィリップスのリソグラフィー部隊が独立し、1984年にASMLが発足した。当時は31人のベンチャー企業。今では従業員数が4万4000人にのぼり、140カ国以上の人材が働いている。3分の1以上の1万5000人がR&Dに従事し、開発に特化するのがASMLの特徴だ。開発投資も売上高の15%を占める。半導体市場は成長市場であり、その成長を支えるのが技術革新だからだ」

    ▼…技術進化はどこまで続きますか。

     「EUVは第2世代の高NA(0・55)露光装置の出荷が始まった。2030年以降にはハイパーNA(0・75)を計画している。ご存じの通り、当社の装置は高価だ。ただ、装置の価格が1・5倍でスループットも1・5倍であればウエハー1枚当たりのコストは同じ。スループットが2倍ならコストダウンだ。そのため、われわれはスループットを絶えず上げていく」

    ▼…周辺技術にも力を入れます。

     「露光装置を高精度で使いこなすためだ。一つはシミュレーションソフト。あるパターンを形成する際、どのような光の形が最適か、などの計算を行う。もう一つは検査・計測装置。正しく露光されているか、位置が合っているかなどを検査する。露光技術は極限まで難易度が上がっており、周辺技術も活用し、効率的かつ正確な露光を実現していく」

    • 2階建てバス並みの大きさを誇る高NAEUV露光装置
      2階建てバス並みの大きさを誇る高NAEUV露光装置
    ▼…EUV露光はどれほど難しいのでしょうか。

     「最新のEUV露光の位置ズレ精度は0・9ナノメートルで1ナノメートル以下だ。シリコン原子のサイズが0・25ナノメートルなのでシリコン原子4個分以下のズレしかない。レチクルとウエハーを同時に高速で動かしながら露光し、この精度を実現している」

     「最近は『2ナノメートル』という単語が飛び交っているが、ナノの世界はイメージをつかみにくいと思う。人の髪の毛は1カ月で1㌢メートル伸びるそうで、計算すると1秒間で4ナノメートル伸びていることになる。2ナノメートルはこれの半分。最先端の半導体はそういう世界を生きている」

    ▼…ASMLジャパンの役割は。

     「01年に発足し、熊本や北上など8カ所に事業所を構える。一番新しい千歳事業所は昨年開設した。ファウンドリーやメモリーメーカー、レジストメーカーなど当社の露光装置を導入する企業をサポートするのがわれわれの役割。国内の約20カ所にASMLの装置が導入されており、24時間体制で対応している。部品倉庫は7カ所。EUV露光装置の場合は、部品倉庫もクリーンルーム対応が求められ、千歳と広島が対応している」

    ▼…日本は半導体材料メーカーが存在感を発揮しています。

     「キーワードは『オープンイノベーション』。ユーザーの声を聞き、装置開発に反映している。そのため材料メーカーやアカデミアとの協業は欠かせない。日本は装置も強く、われわれの露光装置と直接つながる装置もあるため、装置側との連携も重要だ」

    ▼…日本市場の戦略について。

     「日本市場の重要性が高まっている。ロジックとメモリーの両方で最先端のEUV技術を用いるユーザーが出てきたからだ。拡大する日本市場に対応するため、人員を現在の450人から今年中に500人まで増やす。さらに向こう1~2年で600人まで増やす計画だ。われわれはハードの露光装置をサポートする人材に加え、プロセス知識を持ったアプリケーションエンジニアも抱えている。レジストなどリソグラフィーの知見を持つ人材はアプリケーションエンジニアとして活躍できるため、今後は化学系の人材も広く募集していきたい」

    (聞き手=小谷賢吾)

     <略歴>

    〔ふじわら・しょうじろう〕1981年(昭和56年)3月名古屋大学工学部卒、同年4月日製産業(現・日立ハイテク)入社。日立ハイテク台湾の董事長兼総経理を経て、2018年4月からASMLジャパン社長。
いいね
電子版無料トライアル

  • ランキング(特集)