台湾JNC本社工場
JNCは、台湾を液晶材事業の中核拠点と位置づけ、事業の構造改革を推し進める。競争が激しい汎用品を主に扱う中国の生産拠点や関連する知的財産権は譲渡が完了し、技術で差別化が効くITや車載分野で収益性を高める。電子ペーパーや屋外看板の消費電力の削減につながる新たな液晶材も採用が近づくなど、高付加価値シフトが進みつつある。
台湾子会社の台湾捷恩智股份有限公司(台湾JNC)で、営業や製造、研究開発(R&D)が一体となり、事業の高付加価値化を推進する。汎用品は価格競争が激化し、JNCグループが中国・蘇州に持っていた製造や販売の拠点は中国企業に譲渡した。
蘇州の拠点が担っていた原料の品質管理に関する業務を台湾JNCに移管するため、業務の習得など体制づくりに取り組んでいる。高橋信行総経理は、「グループ唯一の製造拠点として、台湾や日本、韓国の液晶パネルメーカーの高度なニーズに対応していく」と意気込む。
高橋信行 総経理
高付加価値品として開拓が進むのが、AI(人工知能)機能を搭載したPCなどに使うIT分野や、安全性や耐久性が求められる車載モニター向けだ。足元で業績を牽引するのはIT向けで、将来的に車載グレードの収益貢献が拡大すると見込む。
事業化が近いのは、消費電力が小さく屋外でも視認性が高い電子ペーパーなどに使う液晶材。液晶分子の層がらせん状にねじれたコレステリック液晶の開発品で、パネルメーカーの部材と相性が良い点が評価され、2026年中にも採用を獲得する見通し。
既存の電気泳動方式(EDP)と呼ばれる技術に比べ鮮やかな色を表示することができ、使用できる温度範囲もEDPの約2倍になるという。さまざまな温度環境に晒される屋外看板への展開を可能にし、グリーン社会に適応した製品として拡大するものと期待される。高橋氏は「コレステリック液晶の市場は、中長期的に需要が伸びる可能性が大いにある」と期待を込める。