福島第二工場のホスフィン誘導体の生産棟
日本化学工業は半導体・ディスプレイ材料、触媒などの用途に使うホスフィン(燐化水素)関連事業を成長エンジンの一つに位置付ける。ホスフィン誘導体の新製品開発で全体の収益力を底上げし、同事業の基幹拠点である福島第二工場(福島県三春町)でホスフィンガスと半導体材料向け高純度ホスフィンガス、高純度赤燐の生産能力を増強する青写真を描く。
日本化学工業は自然発火し毒性もあるホスフィンガスを安全に取り扱うノウハウを持ち、出発原料の黄燐からホスフィンガス、それを精製した高純度ガスや、高圧反応させて合成したホスフィン誘導体まで一貫で手掛ける世界でも数少ないメーカーだ。
このうち高純度ホスフィンガス、高純度赤燐はシリコンウエハーの製造用ドーパント(電気特性を変化させるために添加する不純物)や化合物半導体の一つで、生成AI(人工知能)サーバー用光通信向けの受発光素子に使うインジウムリンなどの原料にもなる。同社は高純度ホスフィンガスで世界2位、高純度赤燐は国内同業と世界シェアを二分する。
足元で半導体需要は踊り場だが、生成AIなどを牽引役にして再び成長局面に入るとみられており、両製品とも年率10%程度の成長が見込めるという。高純度赤燐はこの間の設備増強で生産能力を2019年比で2・5倍に高めたが、今後の増産要請に応えるには福島第二工場でのホスフィンガスと両製品の生産能力増強が必要になる。このためホスフィン関連事業全体を伸ばして投資に見合う収益力を確保した上で、需要動向などを見極めて投資を実行に移す方針だ。
その鍵を握るホスフィン誘導品では触媒原料といった既存製品の拡販に加え、二酸化炭素(CO2)吸収剤などの新製品を拡充して事業ポートフォリオを強化していく。同工場では22年にディスプレイ向け量子ドット用原料の専用設備を設けており、既存設備の生産余力を他のホスフィン誘導体の生産に振り向けて収益力を高める戦略だ。