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  • 中国特集 石油・化学業界、利益いぜん低水準
  • 2025年9月22日
    • 華南ではいぜんエチレン投資が活発。中国石化とサウジアラムコは合弁で1.5兆円投資を始動した
      華南ではいぜんエチレン投資が活発。中国石化とサウジアラムコは合弁で1.5兆円投資を始動した
     中国石油・化学業界の利益水準低迷が長期化している。今年1~6月期の全体最終益は前年同期比10%減。中国石油・化学工業連合会(CPCIF)は、要因として供給過剰にともなう価格下落、通商摩擦による輸出減少などを挙げている。政府は今年7月に過剰能力削減を打ち出したため、今後プラントの省エネ・安全基準が厳格に適用され、徐々に淘汰が進むとみられる。しかし、華南などでは大規模なエチレンセンター投資が複数進行中で、短期的に汎用品の生産能力拡大は続く。

     今上期は石油・ガス開発、製油所、化学の3部門すべてが減益となった。製油所部門は最終赤字に転落したもよう(表)。化学部門は売上高が1・7%増の4兆7500万元(約97兆元)、最終益は5・5%減の1996億元だった。化学全体では増収減益だが農薬や塗料、合成ゴムなどは増収増益で、製品ごとに明暗が分かれた。

     有機・無機主要化学品の合計生産量は前年同期比7%、消費量は同6%それぞれ増加。とくにエチレン、メタノール、ポリエステルなどは生産・消費とも2ケタの伸びを示した。米中関税交渉を見据え駆け込み需要もあったようだ。

     ■基準の適用厳格化■

     中国では「内巻式競争」によって、化学品を含む多くの工業製品市場で需給インバランスが深刻化。経済回復の遅れにつながり、デフレ懸念も生じている。

     政府は石油化学、鉄鋼、非鉄金属、建材など10産業を対象に、過剰生産能力の削減に乗り出す方針。過当競争に陥った「産業の構造調整」を実施し、「供給を安定化」させるとしている。能力削減対象となる残り6業種は明らかにされていないが、市場では石炭化学や太陽電池、風力発電設備、平板ガラス、石炭化学、ポリシリコンなどが含まれるとみられている。

     政府は2022年に製油所と化学プラントの省エネ基準を発表し、24年には生産能力を基準に製油所・化学プラントの新増設を制限もしくは禁止する政策を発表していた。今後はこうした基準がより厳格に適用されることになりそうだ。

     同じく7月には工業・情報化部など5部局が共同で、老朽化した危険化学品の生産設備(稼働後20年以上などが基準)を対象とする、新たな安全検査の導入も発表した。26年秋以降に施行される見通しで、これも非効率設備の整理が狙いとみられる。

     ■華南で投資活発■

     ただ、基礎化学品投資の勢いは、一部でむしろ加速している。例えば華南では、米エクソンモービルやサウジアラムコ、英シェルなど外資による大型エチレン投資が相次ぐ。こうしたプロジェクトは中国の基礎化学品内需を満たすだけでなく、東南アジアやインドへの輸出も視野に入れているようだ。

     エクソンは今夏、恵州(広東省)でエチレン設備の商業運転を開始した。生産能力は年160トンで、誘導品はポリオレフィンが主力。LDPEは単一系列として世界最大級の生産能力を保有する。同社は現地でエチレン2期投資も計画している。

     来年下期には、福建省政府系企業とアラムコ傘下・SABIC(サウジ基礎産業公社)の合弁が、漳州(福建省)でエチレン150万トン設備を立ち上げる。漳州ではさらに、中国石化がアラムコ本体と合弁で、30年をめどに製油所・化学一体化拠点を新設する計画だ。

     内陸部では中国石化や中国石油(ペトロチャイナ)による製油所・化学一体化投資が多く、また民間の投資意欲もなお旺盛。今年8月末には、民営・富海唐山石化による唐山(河北省)でのエチレン投資が省エネ性審査をクリアした。
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