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  • 中国特集 廃棄電池は「鉱脈」 回収・リサイクル網構築に力
  • 2025年9月22日
    • GEMライフサイクル・バリューチェーンイメージ
      GEMライフサイクル・バリューチェーンイメージ
     不法投棄されるEVと電池が社会問題となりつつあるなか、電池メーカーやリサイクラーらは中国政府の旗振りの下、ゴミとして処分するのではなく、リチウム、ニッケル、コバルトといったレアメタルを「鉱脈」と捉え、回収・リサイクルチェーンの構築に力を注いでいる。

     2024年末現在、中国の新エネルギー自動車(NEV)保有台数は3140万台に達した。自動車総量の約9%を占め、今後EV比率は高まる見通しだ。中国電子省エネ技術協会のデータによると、25年の使用ずみ車載電池量は82万トンに達し、28年以降さらに加速。毎年400万トンを超える使用ずみ電池が発生する予測を示している。30年にはリチウムイオン2次電池(LiB)回収量は420万トンにのぼり、対応する業界の生産額は2800億元(約5兆6000億円)を突破する見通しだ。

     工業・情報化部は昨年末、NEV向け車載用バッテリーの再利用やリサイクルに関するルールの最新版(2024年版)を発表した。19年版ルールの一部を修正したもので、新ルールではリサイクル業者がバッテリーからリチウムを回収率の基準について、従来の「85%以上」から「90%以上」に定めるなど一層の厳格化を図った。

     また、品質管理対策として、再生品の品質に関する強制基準を設定。再生業者に対してバッテリーのトレーサビリティー(生産履歴の追跡)システムを構築することも求めた。

     車載電池は容量が一定以下に減衰すると、カスケード利用(用途を変えながらの再利用)からリサイクルにシフトする。その際にはリチウム、コバルト、ニッケルなどの金属を抽出し、新しい電池の製造に再利用する。

     資源再生技術の一つである「湿式冶金」は酸、アルカリなどの化学試薬を用いて電池中の金属を溶解したのち、抽出、沈殿などの工程を通じて分離精製する。同手法を用いることで、コバルト、ニッケルの回収率は98%以上、リチウム回収率は85%を超える。一方で廃水や廃棄物が発生し、環境保護のためこれらの処理対策を講じる必要がある。

     リサイクル大手の格林美(GEM・深圳市)は湿式冶金のリーティング企業として知られている。荊門(湖北省)、泰興(江蘇省)、無錫(同)、寧徳(福建省)、インドネシアなどに車載電池材料のリサイクルセンターを建設し、2025年までに三元前駆体と四酸化三コバルトの出荷量をそれぞれ40万トンと3・5万トンまで高める計画を掲げる。

     また、武漢(湖北省)や寧波(浙江省)など全国6カ所に回収リサイクル拠点を設けており、年間分解・生産能力20万トン、カスケード利用による生産能力は年1・5ギガワット時を有する。主に低速電気自動車用電池、建設機械用動力電池、工業UPSなどの分野に応用されている。

     24年4月、同社は「格林回収(エコ・リサイクル)デジタルプラットホーム」を立ち上げた。回収から価値評価、カーボンフットプリント(CFP)、アフターサービスなどの機能が一体化した設備更新および廃棄物回収のプラットホームとなっている。廃棄物の回収から、中古品の展示・販売、ゼロカーボン製品の販売まで、すべての工程で利用できる。対象とする商品も、廃棄された設備、自動車、電池、電子情報機器、金属など広範囲にわたっている。
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