甄庫 総経理
<大陽日酸(中国)投資有限公司>
大陽日酸は中国で工業用ガスと特殊ガスの両輪に加え、物流網を生かしサプライチェーン(SC)の分断を防いでいく。米国との貿易摩擦など対外環境の変化で中国全体のSCが不安定ななか、同社はコロナ禍で培ったノウハウや信頼を武器に、半導体および周辺需要を捕捉し、収益力を高めている。
中国では上海に日本酸素ホールディングス(HD)の中国事業統括会社を置き、国内のガバナンスや中国エリアでの方針などを定めている。大連長興島(遼寧省)、上海では産業ガスの製造・販売を、重慶市、撫順市(遼寧省)でヘリウムガスの充填・販売など。特殊ガスビジネスは揚州拠点(江蘇省揚州市)で製造・販売、上海市、西安市(陝西省)で販売、無錫拠点(江蘇省無錫市)では特殊ガスの技術サービス拠点としてアフターサービスなどを担い、顧客満足度の向上に貢献している。
ガス関連設備の販売など周辺需要も積極的に取り込んでいる。契機となったのはコロナ禍。在宅勤務の採用によってパソコン需要が大幅に増加した。しかし世界的に物流が不安定だったため、ガス供給や設備が間に合わず生産ができない工場も多かった。同社は国内外に張り巡らせた物流ネットワークを活用し、SCの分断を防ぐ役割を果たした。
現在では米中貿易摩擦の影響によって、半導体SCを中国国内で完結させる動きが早まっている。同社はコロナ禍などを通して培ってきた信頼や実績が評価され、国内でのプレゼンスを高めている。
本上期は半導体市場が底堅く、特殊ガスの出荷も堅調に推移した。工業用ガスはほかの業界と同じく「内巻き」が顕著で、競争が激化している。安定した品質・供給を維持しつつ、中国国内の新材料や新増設などの情報にアンテナを張り、拡販に取り組む。