伊藤英司 総経理
<呉羽(中国)投資有限公司>
クレハはきめ細かな対応で現地ユーザーの要望に応える。主力のポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)は中国での電池安全規制強化を追い風に、日系ならではの提案力を発揮し国内販売量の増加を図る。また、BtoCでは釣り糸製品の存在感が年々高まっており、ハイエンド品として利益増に貢献している。
同社は常熟市(江蘇省)において、リチウムイオン2次電池(LiB)用バインダーで使用されるPVDFの生産・研究開発を手掛けるほか、嘉定(上海市)では炭素繊維「クレカFR」などを生産し、半導体の国産化に貢献している。
業績面では米中の貿易摩擦など不透明な経済環境の中、今年6月以降徐々に出荷量が回復し、堅調に推移している。今後は日本や欧米向け輸出事業のほか、国内販路拡大に注力し、より足腰の強い体制作りを目指す。呉羽(中国)投資の伊藤英司総経理は「中国系のディストリビューターなど現地パートナーとの関係を深めることが重要」と語り、現地化を一層進めていく。
年々中国政府はLiBや車載電池の安全基準を引き上げている。同社の顧客である電池メーカーが設ける検査項目も年々増えている。また電気自動車(EV)市場の急速な発展とともに企業数や生産数量が増えたことで、脱コモディティ化を図る中国勢の動きも活発となっている。クレハとしては常熟の研究開発センターを最大限活用し、顧客側の特殊グレード・スペックに対応する最適な提案を行っていく。
BtoC向け製品「シーガー」(フロロカーボン釣り糸)は毎年二桁増の成長を見せる。PRおよびブランディングの一環として、協賛・スポンサードを含めれば国内で年間数十回のイベントを開催している。デジタルマーケティングにも力を入れてきたことが奏功し、富裕層向けのハイエンドレジャー製品として、高い認知度とシェアを有する。