基本戦略は「生活者への価値提供」。基礎研究の強みや研究成果をどのように製品に展開し、その価値をどのように生活者に伝えていくのかが重要と考えている。市場がグローバルで大きくなっているなかで、技術、素材、製品、どこに価値があり、どのように訴求していくべきなのかを研究開発の視点からの価値づくりに取り組んでいる。
基礎研究の戦略は3つ。1つはブランドに特化した技術のブラッシュアップ。現在、コア3・ネクスト5に集中投資するアクションプランを進行しているが、ブランドごとに象徴する成分や技術の中核、強み、を再定義し、関連する技術を強化して早期にブランドに落とし込む戦略を進めている。
当社の社名を冠したブランド「SHISEIDO」では、日本の伝統的な発酵技術に着想を得て、先端の技術を融合させ、そこから生み出した「発酵カメリアエキス」をブランドの顔「アルティミューン パワライジング セラム」に搭載、今年3月からエイジングケアする美容液としてグローバルで販売開始した。驚きの浸透感を体感してもらえると思っている。「クレ・ド・ポー ボーテ」では独自のサイエンスアプローチ「肌知性」というキー概念に基づいてブランドの進化を図っており、マドンナリリーの花から抽出したエキスとグリセリンをブレンドした保湿・整肌成分、ラディアントリリーエキスGLがある。
ブランドの顔「アルティミューン パワライジング セラム」
2つめはブランドを横断する基盤技術、製品全体を底上げするような研究。美白の分野では4MSK(4-メトキシサリチル酸カリウム塩)などといった当社が強みとする美白成分があり、多くのブランドで採用しているが、各成分と各ブランドがシナジーを発揮し、より輝けるようなアプローチも強化している。たるみ、シワといった分野もブランド共通で機能強化している。
3つめは新規事業開発。レッドオーシャンでの戦いだけでなく、新しいカテゴリー、新価値を創出していく取り組みもさらにその枠を広げている。
今年1月には、横浜・みなとみらいの研究開発拠点「資生堂グローバルイノベーションセンター(GIC)」に「Shiseido Beauty Park」をオープンした。都市型オープンラボとして2019年に開設した研究施設「S/Park」を進化させ、生活者とのつながりや、未来の美の可能性を共創していく場となっている。まだ「世の中にない」美容プロダクトを生み出す実験基地「fibona(フィボナ)」ではユニークな製品を開発、限定販売も行っており、GICを世界の研究開発拠点として、国内外の研究機関、大学などとの連携も強化、革新的イノベーションにつなげてきたい。