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  • 化粧品総合特集 研究開発担当トップに聞く ポーラ・オルビスHD・ポーラ化成工業執行役員 研究担当・島貫智匡氏
  • 2025年9月29日
     「尖った研究」を大事に、その成果をできるだけ早く生活者の「初めて」の感動につなげたい。昨年1月に研究・開発・生産を担うポーラ化成工業の横浜事業所内にテクニカルディベロップメントセンター(TDC)を開設。基礎研究から開発、量産化までをシームレスにつないで製品化を加速させるとともに共創スペースを設け、異分野も含めてさまざまな外部機関との連携を強化、化粧品だけでなく美容医療など新分野にも挑戦している。

     われわれがやるべきことは、他社にないものを生み出すことで、ベースとして大きく4つの技術的な強みがあると考えている。1つは有効成分開発に代表される新素材開発。代表的なものとして2016年にシワ改善を効果・効能として日本初承認を受けた「ニールワン」があげられる。2つめはアンチエイジングを中心とする皮膚科学研究。3つめは機能や感触などを商品に落とし込んでいくための剤型・製剤化の技術。4つめは着実に研究を進めていく基礎となる計測技術があり、この4つの技術的要素のアップデートに取り組んでいる。そしてTDCは、研究成果を迅速に製品化していくため実験工場としての役割を担っている。

     今年1月に発売したニールワン配合の美容液「リンクルショット メディカル セラム デュオ」はここで生み出されたもので、従来難しかった液状の処方を実現した。用時調製して使用するため、混合後の誤差をなくす事が大きな課題だった。半導体の製造技術を応用した精密充填技術や精密秤量など、分野の垣根を越えた創意工夫が詰まっている。目下検討中のウルトラファインバブル技術は、化粧品への展開に向けて研究を加速している。1ミリリットル当たり14億個のウルトラファインバブルを安定的に配合できる技術を確立しており、ファインバブル産業会の製品登録制度に登録されるなど、品質確保、差別化を図っている。

    • 「リンクルショット メディカル セラム デュオ」
      「リンクルショット メディカル セラム デュオ」
     また、TDCでは今年9月にリニューアルしたポーラ最高峰ブランド「B.A」の生産も行っている。処方開発に最先端の感性研究成果を取り入れ、徹底的にこだわったが、迅速なモノづくりを実現した。

     連携という点では今年1月に東北大学と「境界の融和」共創研究所を設立した。国際放射光イノベーション・スマート研究センター(SRIS)内に研究拠点を設け、3GeV高輝度放射光施設「ナノテラス」を使って革新的な化粧品開発につなげていく計画だ。

     グローバル研究開発体制では、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)とiPS細胞を使って皮膚を再現する「ミラースキン」の開発を加速、昨年の国際化粧品技術社会連盟世界大会(IFSCC)ではポスター発表部門で最優秀賞を受賞しており、今年はその後の進捗を報告している。
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