三安光電は湖南省で8インチSiCウエハーの生産を開始した
中国国家統計局によると、今年1~7月期の集積回路(ICチップ)生産量は2946億個と前年同期比10・4%増えた。AI(人工知能)需要が旺盛で、高性能のHBMメモリー(DRAMチップを3次元積層し、TSV=シリコン貫通電極で接続したもの)の需給がひっ迫しているようだ。昨年比で半導体業界全体の投資ペースは鈍化したものの、製造装置工場の投資は増加。高性能半導体の製造に不可欠な材料を含め、国産化が進展しつつある。
現地シンクタンクのCINNOリサーチ(上海)によると今上期、中国では半導体業界の設備投資額は4550億元(約9兆3500億円)と前年同期比9・8%減少した。勢いは鈍化したものの、ウエハーやパワー半導体の大型投資は続いている。
例えば三安光電は長沙(湖南省)で今夏、8インチSiC(炭化ケイ素)ウエハーの商業生産を始めた。同社は現地で基板からエピタキシャルウエハー、チップまでの一貫生産ラインを構築。6インチ品生産能力は月産1・6万枚。このほど生産を始めた8インチ品は同1000枚。10月には、重慶で新陵微電子が6インチパワー半導体の工場を立ち上げる予定。最終的に年産能力を160万枚とする計画だ。
また業界全体の投資額は減少したものの、製造装置業の投資は1・5倍に膨らんだ。合肥(安徽省)では芯碁微電子装置股份が今夏、5億元を投じマスクレス露光装置やダイレクトイメージング装置などを製造する第2期工場を立ち上げた。
装置業界では再編も進展しており、大手・北方華創(ナウラ、北京)は今年3月、同業・芯源微電子設備(瀋陽)に追加出資し、経営権を握った。今回の買収でナウラは設備のポートフォリオを広げる。
窒化ガリウム(GaN)や炭化ケイ素(SiC)を基板に使う第3世代半導体関連の投資も拡大している。米国との通商摩擦下で国内サプライチェーンの拡充を支援するため、中国政府は今年、国策ファンド「大基金」第3期を始動。AI用チップや製造装置、材料なども支援対象となる見通し。地方レベルでも、7月に深圳市が総額50億元規模の半導体産業育成ファンドを立ち上げた。
大基金3期で支援対象になるとされるレジストや、CMPスラリー・パッドなど材料事業に参入する企業も増加している。
<レジスト・CMPスラリー、国産化徐々に進展>
CMPスラリーの中国最大手は安集微電子科技(上海)で、大手ファウンドリーを軒並み最終顧客に抱える。このほか鼎龍股份(武漢)や新陽半導体材料(上海)、力合科創(深圳)、岱勒新材料(長沙)なども生産を手がける。このうち鼎龍股份はCMPスラリーと同研磨用パッドの双方の生産を手がけ、年内に2期ラインを完成させる予定だ。
レジストメーカーとしては、晶瑞電子材料(蘇州)や科華微電子(北京)、瑞紅電子(蘇州)などが汎用チップに使うi線、g線用製品を手がけてきたいわば老舗。鼎龍股份、新陽半導体などが新興と位置付けられる。
中国のi線、g線用レジストの自給率は足元それぞれ2~3割。より線幅の狭いチップの製造に使われるKrF用、ArF用はそれぞれ5%前後、1~3%にとどまるが、ファーウェイ系企業がArF用を量産化し生産量を伸ばしているとの見方もある。
晶瑞電子は今季、KrFレジストを商業ベースに乗せ、ArF用も少量ながら出荷した。鼎龍股份は昨年末、KrFレジストとArFレジストが、それぞれ国内の有力ユーザーから製品認証されたと発表。現状年30トン能力を持ち、こちらも年内に2期ラインを完成させるとしている。