• 大型特集
  • 化粧品総合特集 研究開発担当トップに聞く マンダム・Chief Technical Officer兼技術戦略部長・浅田拓二氏
  • 2025年9月29日
     オープンイノベーションを通じて技術を創出し、商品化および社会貢献に結び付ける体制を強みとしている。大阪大学と北里大学に共同研究講座を設けており、大阪大では皮膚免疫や汗腺、細胞の感覚センサーであるTRPチャネルなど、バイオ領域のシーズ研究に取り組んでいる。北里大では製剤化研究を中心に手がけ、リン脂質を主な成分として構成されるディスク状の微細な構造体「バイセル」を活用した浸透技術などに強みを持つ。

     大阪大との共同研究講座は今年10周年を迎えた。直近では、インドネシアのアイルランガ大学との研究により、東南アジアで髪の保湿に用いられてきた「ククイナッツオイル」に、まつ毛を長くする効果を確認した。多くの女性が長いまつげに憧れを持つ一方、年齢や病気の影響でまつ毛貧毛症に悩む人も存在する。得られた知見は、まつ毛の育毛により、生活者のQOL向上に貢献できると考えている。加えてTRPチャネル研究の製品応用も進んでいる。一例として、ミドル男性向け化粧品ブランド「ルシード」から発売したスキンケア「薬用アドバンスドリペアシリーズ」は、年齢による肌のひりつきやしわなど7つの悩みに対応する低刺激処方を採用した。40歳以上の男性の肌悩みに応え、ファン獲得につなげていきたい。

    • ミドル男性向け化粧品ブランド「ルシード」から発売した「薬用アドバンスドリペアシリーズ」
      ミドル男性向け化粧品ブランド「ルシード」から発売した「薬用アドバンスドリペアシリーズ」
     さらに、同業数社と化粧品の安全性評価項目の一つである皮膚刺激性試験の代替法の研究に取り組んでいる。2024年の日本動物実験代替法学会では、研究成果が大会長特別賞を受賞した。代替法による試験結果とヒト試験の結果を組み合わせてデータを取得し、国のガイダンス改定に貢献できる資料の提供を進めていく。

     当社の売上高の約半分は海外事業が占める。技術領域でもアジア屈指の研究開発力を誇る化粧品企業を目指し、人材育成や薬事・規制対応などグループ経営の強化を進めている。人材面では、ラボ機能を有する日本とインドネシア間で技術者の相互研修を実施。グローバルな視点を備えた人材の育成を通じて競争優位の確立を図る。規制対応強化に向けては国内外の薬事担当が集まる「薬事フォーラム」を開催。各グループ会社との情報共有と連携を行い、国・地域ごとの規制の違いやリスクへの対応を進めている。

     当社は独自の概念「健清美楽」を掲げている。健康・清潔・美の根底に、「楽」を加えたコンセプトだ。技術開発においても楽しさに加え使いやすさや分かりやすさも含めた「楽」を重視している。また生活者が効果を実感できるものづくりのため、感性研究も一層追求していく。
いいね
電子版無料トライアル

  • ランキング(特集)