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  • 化粧品総合特集 研究開発担当トップに聞く コーセー・取締役商品本部副本部長兼研究所長・小椋敦子氏
  • 2025年9月29日
     “一人ひとりのきれい”を追求し、独自性のある商品を生み出すために、基礎研究と製品開発のスパイラルの高度化と深化を加速させている。お客さまのニーズを叶える基礎研究、製剤研究を推進し、その成果をいち早く製品につなげるのはもちろん、互いのシナジーを発揮しワンチームで当社の強みである技術開発を徹底的に伸ばしていく考えだ。

     その1つが「リポソーム」。もともとは医療領域で使われるデリバリー技術だが、当社は40年以上も前から化粧品用に研究を行っており、とくに多重層リポソームを強みとして進化を続けている。最新の研究成果としては水溶性成分の浸透をより高めた「親水性多重層バイオリポソーム」を開発し、9月から発売開始したコスメデコルテの「ユース パワー エッセンス ローション」にこの技術を搭載している。

     リポソーム以外のカプセル化技術にも強みがある。昨年9月には、一般的なローションの約100倍の油分量をカプセルとして配合しながらも、みずみずしいローション「薬用 マイクロバーム ローション」に応用した。

     新しいモノづくりの手法ということでは、量子コンピュータを用いた化粧品開発があげられる。2018年にスタートしたアクセラレータープログラムの一環として、当時のパートナー企業と開始した取り組みだが、今年5月に世界初となる量子コンピュータを用いて処方設計したコスメデコルテ「AQ 毛穴美容液オイル」を発売した。この商品は“毛穴角栓を、溶かし崩す。”をコンセプトとしたクレンジングオイルであり、これまではひとつひとつ検証を繰り返すしかなかった角栓を溶かすための成分の組み合わせを、溶解度パラメータという数値化手法を導入することで、量子コンピュータによる計算を可能とし、1000億通り以上の組み合わせから角栓溶解に最適な処方を10秒で導き出した。

    • リポソーム技術も搭載した高機能エイジングケア化粧水「ユース パワー エッセンス ローション」
      リポソーム技術も搭載した高機能エイジングケア化粧水「ユース パワー エッセンス ローション」
     「くずれないメイク」技術も創業以来、こだわっている機能で、「メイクキープ」シリーズは19年の誕生以来、累計出荷個数2500万個を超える勢いで、圧倒的な支持を得ている。メイクにとどまらず、今年は日焼け止めへの応用を果たすなど技術応用が進展している。

     また、近年、強化しているのがデータサイエンス。われわれが持つ膨大なデータを活用し、新しい価値創出の糸口を探している。一例として海外の大学との共同研究により、美に対する価値観を図る指標を開発し、多様な顧客に寄り添う商品やサービスの提供につなげていこうと考えている。そのためのデータサイエンティストの充実・育成も図っている。
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