高空間分解能組成イメージング(NanoSIMS)で医薬品の細胞内分布観察像から薬効メカニズムを推測する
東レリサーチセンターは、半導体や素材、電池などの分析で培った知見を生かし、ライフサイエンス分野での分析受託サービスを強化している。イメージング技術や医薬品の規制対応ノウハウを強みに、新規モダリティ(治療手段)向けの引き合いが増加中だ。アカデミアや製薬ベンチャー、製薬企業、製造開発・製造受託(CDMO)企業や培地・培養容器メーカーなど、幅広いプレーヤーからの需要に応え、成長が期待される再生医療分野での売り上げを向こう3年で1・5倍に拡大することを目指す。
研究部門(滋賀)(滋賀県大津市)では主に細胞の形態観察関連技術を生かした薬効メカニズム解析サービスを、研究部門(名古屋)(名古屋市港区)・研究部門(鎌倉)(神奈川県鎌倉市)では主に医薬品の製造・品質管理基準(GMP)や非臨床試験実施基準(GLP)体制下での品質試験・安定性試験サービス等申請用試験を提供している。細胞製剤、遺伝子治療薬、mRNA医薬のほか、細胞培養向けの培地や足場材、容器の分析・評価などに対応。薬物送達技術(DDS)や細胞技術を用いた生体模倣システム(MPS)の評価にも材料分析ノウハウを活用している。
足元では、走査電子誘電率顕微鏡(SE-ADM)を用いた細胞の液中観察サービスを開始した。従来法では細胞を真空状態にする必要があったが、水分を含ませたまま複数項目の分析が可能となった。生細胞や微生物を生きたままの状態で観察できるほか、細胞非染色でのたんぱく質の分布状態の観察などに活用できる。
昨年、世界初の生細胞のナノメートル構造観測として論文掲載された小角X線散乱による生細胞の微細構造解析技術もサービスラインアップに加えた。温度やpHといった外部刺激による細胞膜などの細胞微細構造の変化を検出し、複数の測定結果から東レリサーチセンターの技術・知見を用いて総合的に解析する。製剤の保管・輸送時の凍結など、細胞に対する物理的ストレスの評価への活用が期待される。