TSMCを創出するなど、半導体の研究開発に注力するITRI。張世杰電子與光電系研究所長に開発の現状や展望を聞いた。
▼…生成AI(人工知能)用半導体について、現状をどのようにみていますか。
「生成AI用半導体には課題が多いが、ITRIとしてはデータ転送速度に影響する帯域幅に注目している。ITRIが開発したロジックとメモリーを、積層構造では従来比10倍の帯域幅を可能にしている。また、生成AI用半導体から発する熱対策も課題だ。昨年も紹介した冷却水を真空密閉し温度変化による対流を利用して発熱部の熱を移動させる冷却ソリューションでは、1600ワット以上の放熱性能を確認しており、現在は2000ワットに挑戦している」
▼…台湾では先端後工程が注目されています。
「ITRIでは、2・5および3次元パッケージングのプロセスのシャトルサービスを世界で初めて展開している。シャトルサービスでは、先端パッケージングの試作や少量生産を請け負っているが、すでに10数社が待っている状況だ」
▼…前工程への取り組みは。
「12インチ(300ミリメートル)ウエハーの新工場を建設中で、2年後の完成を予定する。ITRI最大規模のプロジェクトして進めている。稼働後はより先端な研究開発が可能になるだろう」
▼…民間企業との開発事例は。
「半導体開発などから蓄積するリアルな知見とデジタル技術を組み合わせたデジタルツイン技術の提供にも取り組んでいる。事例として、ステンレス製造プロセスを粒子ベースで再現することに成功している」
▼…日本企業への期待は。
「新工場には、日本のメーカーも含め先端の生産設備を導入していく計画だ。今後も協業を進めていきたい」(聞き手=阿桑健太郎)