外部影響により事業環境の厳しさが増す台湾の石油化学産業。市場の現状認識や見通し、産業全体視点での課題、取り組みなどについて台湾区石油化学工業同業公会(PIAT)の曹明理事長(台塑石化董事長)に聞いた。
-PIATについて。
「PIATは、1977年12月29日に設立した。石油化学産業と台湾政府や関係機関とのパイプ役として、産業発展に向けた政策提言や政策策定に必要な統計調査を実施している。現在の会員企業数は43社で台湾に生産工場を有することが条件になっている。日本企業との合弁会社も複数会員になっている」
-台湾の石油化学産業について。
「台湾の石油化学産業は、68年に完成した最初のナフサクラッカー(年産5万4000トン、90年に閉鎖)から、現在は域内で同400万5000トン規模まで拡大している。産業間の関連性が高いことから、輸出や国内産業への原料供給として極めて重要な役割を担っている。とくに、台湾は先端半導体産業で注目されており、石油化学材料の研究開発と技術は、半導体生産に必要な化学品の安定供給を確保する上で極めて重要だ」
<輸出環境厳しく>
-台湾の石油化学産業の現状と課題は。
「産業や社会生活を支える産業として安定供給を求められる一方、グローバル市場では価格競争が激化していて、汎用製品ではもっとも激しい。会員各社は、製品の高付加価値化に取り組んでいる」
-輸出環境も変化しています。
「2024年1月1日より、中国商務部は「海峡両岸経済協力枠組協定(ECFA)」のアーリーハーベストリストにあるオレフィン、芳香族炭化水素など12品目の石油化学基礎原料製品に対する関税優遇措置の実施を停止した。中国市場では、関税を支払わなければならない台湾の石化製品が、中国製品や関税優遇を受けている日本品および韓国品と競争している。8月7日には米国が台湾製品に対し20%の追加関税を課し、その影響についても懸念している」
<付加価値さらに>
-どのような対策が必要でしょうか。
「原料の多角化や製品の高付加価値化についてこれまで以上に取り組むことだ。例えば、台湾プラスチックグループ(FPG)の台塑石化(FPCC)は、ナフサクラッカーの1系列をエタン原料への対応設備に改良し、将来的にはエタン、液化石油ガス(LPG)やナフサのいずれも原料として使えるようにしていく」
-生産設備の統廃合などの可能性は。
「現時点でそのような計画はないが、定期メンテナンスなどのタイミングで供給量の調整を実施することもあり得るだろう。台湾の産業再編は民間が主導するケースが多い。PIATでは、今後も会員企業の考えを集め、産業が直面する課題に向けた対策について政府などと議論していきたい」
<日本と共創期待>
-日本の石油化学産業への期待は。
「お互いの競争力強化に向けた協業を期待している。日本企業は市場開発と半導体材料に強いが、台湾企業と共同開発により、より国際競争力のある製品を開発、展開することができると考えている」
(阿桑健太郎)