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  • 経営戦略特集1部 旭化成、成長投資と構造転換で変革
  • 2026年3月2日
  •  旭化成は成長投資と構造転換の両輪による事業ポートフォリオ変革を推し進めている。石油化学事業への依存度が高かった収益構造からの脱却を図りつつあり、ボラティリティを抑え、安定的に成長する企業への転換を狙う。2025年度から3カ年中期経営計画がスタートし、エレクトロニクスなど重点成長事業を中心に利益成長の加速を目指す。

     重点成長事業にはエレクトロニクス、医薬、クリティカルケア、海外住宅を位置づける。エレクトロニクスは、AI(人工知能)需要拡大を背景に電子材料が好調に推移する。主力の感光性絶縁材料「パイメル」は静岡の拠点で増強し28年度に稼働予定。すでに次期拡大計画も検討に入っている。

     パイメルではスマートラボも立ち上げる。材料の設計、合成、評価、解析の各装置を物理的、情報的に総合接続し、実験室全体が1つの生産工場として動作する仕組み。顧客の要求に最速で応えて最先端で勝ち続けるための基盤を整える。

     医薬は買収で獲得した慢性腎疾患薬「タルペーヨ」がIgA腎症の疾患修飾薬(根本治療薬)として国際治療ガイドラインで唯一推奨されるなど、存在感を高めている。買収時、30年頃にピーク売上高5億ドルを計画していたが、2~3年前倒しで到達することも射程に捉える勢い。

     クリティカルケアは、除細動器や着用型除細動器が米欧を中心に確立しているポジションを堅持し、持続的な成長を見込む。さらに睡眠時無呼吸症関連も本格的な成長期に入り事業拡大を加速する。

     一方、海外住宅はターゲットの北米、豪州とも市況回復の遅れが逆風となる。北米で人口流入の多いエリアに絞り、工事業種の拡大や新規顧客の開拓など、需要回復を見据えた施策を進める。

     中計で掲げる27年度営業利益2700億円の達成に向け「ヘルスケア」「北米」「AI・半導体」という世界的な成長市場で勝ち筋を磨く。多様な事業基盤を相互に活かしさらなる進化を遂げる。
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