• 大型特集
  • 経営戦略特集1部 信越化学工業、AI素材を軸に成長軌道
  • 2026年3月2日
  •  信越化学工業は、人工知能(AI)の普及・発展に欠かせない素材の供給を通じ、「正真正銘のAI銘柄」として存在感の拡大を図る。半導体の根幹であるシリコンウエハーや露光材料、通信を支える光ファイバー材料、ハードディスクドライブ(HDD)に使う希土類磁石のほか、データセンターの配管や電線に必要な塩化ビニル樹脂なども含め、各製品で高い競争力を発揮しながら多角的にAI需要を捉えていく構え。

     事業で創出した資金は、株主還元の強化に取り組みつつ、さらなる成長に資する機動的な投資に振り向ける。ウエハー事業の多面的な拡大に向け、2024年には三益半導体工業を完全子会社化した。足元では、高機能シリコーン製品群や医薬用セルロースの生産能力増強が進行中。26年4月には、群馬県伊勢崎市に同社で4カ所目となる露光材料の新工場が稼働を控えている。

     塩ビに関しては、製造子会社のシンテックが24年に米国ルイジアナ州プラケマインで年産能力40万トンの新工場を立ち上げた。同国で総計364万トンに上る生産能力のスケールメリットを生かし、北米と海外の双方の市場に向け、フル生産・全量販売に取り組んでいく。ただ、25年に市況が顕著に落ち込んだことから、短期的には適正水準への価格修正を優先課題と位置づける。

     新製品の開発に関しては、窒化ガリウム(GaN)基板での進展が大きな成果の一つ。GaNエピタキシー用QST基板を用いて外部機関が作製した300ミリメートル基板で世界最高記録となる800ボルトの耐圧を確認。200ミリ以下では3000ボルト以上の耐圧も確認している。27年の量産化を目指す。

     シリコーンでは熱可塑性の新素材を開発し、市場への提案に乗り出した。透明性や加工性に優れるうえ、通常は熱硬化性のために困難とされるシリコーンのリサイクルを実現できる。
いいね
電子版無料トライアル

  • ランキング(特集)